筋膜の学習

筋・筋膜の評価〜信頼性の検討〜

筋・筋膜の評価で用いられる超音波画像診断機器の注意点


超音波診断装置による生体測定では誤差が生じやすいとされている.

超音波診断装置を用いて筋組織やFasciaの評価の検討を行なう場合,評価方法の信頼性の確認が必要不可欠である.

特に日本国内での先行研究では,理学療法評価法の信頼性の検討を相対的信頼性(relative reliability)を用いて検討している報告が多い.

相対的信頼性とは,ピアソンの積率相関係数(Pearson’s correlation coefficient; r).あるいは級内相関係数(intra-class correlation coefficients; ICC)などの係数を用いて信頼性を検討する方法である.

この相対信頼性は,2つの測定値間の相関の強さを係数で表すため,理解しやすいという長所があるが,一方で相対信頼性の検討には,いくつかの問題点を有する.

相対信頼性の問題点

 ①測定値が内包する誤差を偶然誤差に限定している.

 ②誤差の種類と量に関する情報を得ることが出来ない.

 ③ICCは個人差の大きいデータでは検者の個人差や誤差が相対的に小さくなり係数値が大きくなるという欠点を有する

実験における【測定値】真の値(true value, true quantity)誤差(error)から成り立っている.
同じものを計測するにしても,計測実験においては毎度同じ計測結果が出るとは限らない.

それが誤差である.

この誤差は,偶然誤差と系統誤差の2つに大別される.

偶然誤差は名前の通り,偶然起きてしまう誤差であり,気象条件や環境に多少左右される要因となる.
偶然誤差は平均値などから,プラス/マイナスへの双方向へ比較的対称に生じる振れやばらつきのことであり,個体差計測誤差に分けられ同一条件下での測定を詳細に設定したり,あるいは繰り返し何度も計測することで誤差を小さくすることができる.

系統誤差とは真の値から構造的・系統的乖離のことであり,加算誤差と比例誤差の2つに大別される.

加算誤差とは,「真の値の大小にかかわらず特定方向に生じる誤差」である.
比例誤差とは,「真の値の大きさに比例して大きくなる誤差」であり,繰り返しの計測により誤差を克服することが困難である.

これらの誤差の種類を特定するだけではなく,誤差の量(どれくらい誤差があるか?)を明らかにすることで,それらの評価方法が臨床上どれくらい有用かどうかを判断できるようになる.

前述した相対信頼性に対して,測定値の中に「どの種類の誤差がどの程度混入しているか?」を検討する方法が絶対信頼性 (absolute reliability)である.

相対信頼性は“係数”の検討をしており,絶対的信頼性は,測定値が内包する「誤差の“範囲”」を測定する方法と同様の単位(mm, °)で示すことで「真の変化」を明確にする方法である.
これらを明らかにする方法としてBland-Altman分析最小可検変化量(minimal detectable change: 以下MDC)がある.
また,Bland-Altman分析により【系統誤差の有無の確認】と【MDCの95%信頼区間であるMDC95により測定誤差の量が検討可能】である.
MDC95は2つの測定値が測定誤差によるものである限界値を示したものであり,測定値を他の測定値と比べる際にその差がMDC95以上であれば真の変化が生じたと判断することが可能となる.

 


まとめ

この話を簡単にまとめると,【級内相関係数】や【ピアソン相関係数】で求められるものは相対的信頼性と言われるものであり,得られた結果は,偶発的に起きた誤差に限定される.
超音波診断装置における誤差は,偶発的に起きる誤差のみならず,計測者プローブの圧迫度合いや計測位置など,誤差が起きてしまう要因が多大にあり,また,良い結果を出そうと意図的に計測の操作が行われる可能性も考えられるため,得られた数値が本当に偶然誤差しかないのか?の検討やそもそもの測定結果はどれくらいの誤差の範囲があるのかを知る必要があるため,絶対的信頼性の検討をする必要がある.

 得られた結果の解釈としては,基準値の誤差範囲以上の動きが見られたときに,基準値に比べ変化が起きたことが実証される.

 

Kazu
この記事を書いた人

《資格》 Advanced diploma of Physical Therapist (理学療法士:高度専門士) Certificated physical therapist in Orthopa ...

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