コラム

筋膜の動きが悪くなる原因とは!?

体のコンディショニングをするにあたって,必要な順番は

まず筋膜を整えて, そして次に運動を行うことです.

これは「Fascial Re-Actionコンセプト」にも必要な要素となります.

この順番はとても重要.

この順番が重要なことには理由があります.

目の前で起きている姿勢の変化や動きの癖などは,

「筋膜が硬くなっている」 その結果として,

起こってしまう悪い姿勢やよくない動き方なのです.

【硬くなかった筋膜】が硬くなってしまった.

これは「筋膜」という組織そのものがすでに悪い方向へ変化している状態です.

さらには

「筋膜を取り巻く環境そのものが変化している」状態です.

 

この「固くなってしまった筋膜や筋膜を取り巻く環境の変化」とは一体どういった現象なのでしょうか?

筋膜とヒアルロン酸

筋膜にはいくつか種類がありますが,

主に体を動かした時の痛みの原因になる筋膜は、たいてい3層構造になっています.

簡単に言うと,3枚のTシャツを着ているようなものです.

そして、この重なっているTシャツとTシャツの間には

「ヒアルロン酸」が存在します.

よく、関節の動きを良くするために,関節注射などの際に注入する『ヒアルロン酸』です

この『ヒアルロン酸』は筋膜の層と層の間にもヒアルロン酸がたくさん存在し,

この筋膜と筋膜の間がスムーズに動くように潤滑油の役割をしています.

また,筋膜や筋肉にはヒアルロン酸を生成【作り出す】機能も持っているために,筋膜の間には豊富にヒアルロン酸が存在します.

通常,ヒアルロン酸はサラサラな水溶性の性質をしています.

ですので,サラサラなヒアルロン酸の働きにより,筋膜と筋膜は非常にスムーズに滑走します.

通常,3枚の筋膜構造はヒアルロン酸の働きにより,筋膜と筋膜はツルツルとすべって滑走しやすい状態にあるのですが,

☑ 骨折やねんざなどのケガ

☑ けがなどによる固定

☑ 使いすぎ

これらが原因として,

ヒアルロン酸の性質が,通常サラサラな性質であったものが,はちみつや水あめのような【ベトベトの性質に変化していく】ことが筋膜の研究で証明されています.

通常,サラサラな水溶性のヒアルロン酸がはちみつや水あめのようなベトベトしたヒアルロン酸に変化することで,そのヒアルロン酸を挟み込む筋膜はどうなるか?

 

筋膜は滑走せず,粘稠性が強くてスムーズに動くことができません.

これが【筋膜を取り巻く周囲の環境が変化した状態】となります。

「ケガによる固定」や「同じ運動の繰り返しによる身体の使いすぎ」によって、「ヒアルロン酸がベトベトの性質になってしまいます.
そして,そのベトベトしたヒアルロン酸は周囲のヒアルロン酸と凝集(くっつき集まる)ことで密度が増してしまい,凝集化した部分の水分が体外に押し出されてしまいます.

結果的に,組織の水分が押し出され,『組織の脱水』をも引き起こしてしまいます.

水分が失われた,水アメやはちみつのように,さらに水分が失われたヒアルロン酸の粘稠性はましてしまい,さらにベトベトを強くしてしまいます.

すべりが悪くなった筋膜は次第に周囲の筋膜とのり付けされたように固定されてしまい,

無理に動かそうとすると痛みや異常感覚を引き起こします.
人によっては,神経を巻き込んでしまっている人もいるでしょう.

そのために,筋膜によって起こる障害は,この【ヒアルロン酸の粘稠性】と【組織の水分状態】が強く左右していまいます.ですから,普段から体の中をベタベタにしないことを意識する必要がありますね!

 

 

まとめ

 

☑  怪我や過用により,筋膜の周囲のヒアルロン酸がはちみつのようにベトベトになる.

☑ ベトベトのヒアルロン酸により筋膜の滑りがわるくなる

☑ 滑りが悪くなると,周囲の組織とくっついてしまう

☑ そのため,体を無理に動かすと痛みや異常感覚を引き起こす.

 

筋膜の状態が良好な場合は,動きをジャマすることがなくなります.

しかし,ケガなどにより1ヶ所でも筋膜の滑走が悪くなると,

体は代償を起こし身体のバランスを修正しようとします.
その結果,遠く離れたところの筋膜の滑走も低下させてしまいます.

その結果

悪い姿勢や動き方の癖を引き起こす可能性が高くなります.

 

Kazu
この記事を書いた人

《資格》 Advanced diploma of Physical Therapist (理学療法士:高度専門士) Certificated physical therapist in Orthopa ...

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