筋膜の学習

筋・筋膜の評価〜超音波画像診断〜

超音波検査は,動物と同様にヒトの組織評価に幅広く用いられている.

組織評価のためには,Bモード(brightness-mode)の超音波画像が使われる.

このモードは,音響インピーダンス(組織密度×音速)が変化する部分を視覚化することで,組織の断面の2次元画像を作成することができる.

脂肪組織や筋組織,骨の境界線では音響インピーダンスが明白に異なるため,超音波検査による輪郭描写が可能となる.

生体物質の超音波診断において,脂肪を含む疎性結合組織は広がって散財した信号となり,その一方で,器質化した密性結合組織の境界面ではより「反響」した信号となる.

よって,超音波検査法は密性結合組織である【筋膜】はより明瞭に画像化することが可能である.

超音波検査法は骨格筋の横断面を観察する目的で,HowryとBilis(1952)がヒトに対して最初に使用した.

その後,Bモード超音波検査法は,IkaiとFukunaga(1968)によって骨格筋の横断面積を測定するために使用された.

それ以降Bモード超音波検査法は,生体における骨格筋の部分的な画像を得るために欠かせない機器となり,その研究は急速に発展していった.

 

適切な周波数を(筋の深さに応じて通常3〜10MHz)の超音波プローブを,下層にある筋の長軸方向に合わせて皮膚に当てた時,筋内の水平面エコー間に低エコー性の線を観察する事ができる.

 低エコー線は,線維脂肪中核のような筋周膜の間の等輝度の構造物からなり,水平面エコーは筋外膜と腱膜からなる.

Kawakamiら(1993)とNariciら(1996)は横紋のあるパターンが筋線維の方向を表すことを確認した.線維束長(腱膜の)と角度は,筋内の典型的エコー長と,下層のエコーとの角度を計測することができる.(2枚め)

筋発揮に影響する要因のうち,その線維長と収縮速度は極めて重要である.筋線維によって発揮される力は,筋線維の長さと収縮速度によって決定されるからである.

ヒトでは,浅層と深層の筋膜は高密性結合組織と疎性結合組織の層が交互に構成されいる.(Benjamin 2009,Huijing&Langevin2009).

柔軟性の重要な機能としては,疎性結合組織が存在することにより密性結合組織の層が互いに滑走する(Stecco C 2006).損傷,炎症,瘢痕及び線維化といった病態により,結合組織の構造が変化する可能性がある.例えば,慢性腰痛を有するヒトでは,腰痛を有するヒトに比べて,腰部の周囲の結合組織の厚みが増加していた(Langevin 2009).

 

 

超音波画像法は,筋収縮中や関節運動においてもリアルタイムに非侵襲的に骨格筋の形状や筋膜組織の画像を得ることが可能である.

超音波装置では強い反射が起こると高エコー域,反射が弱く透過しやすい箇所は低エコー域で描写される.筋線維は透過しやすく低エコー描出されるが,深筋膜や筋周膜は密性結合組織であり,線維間が密であるために高エコーとして線状に描出され,深筋膜層の判別は容易に可能である.
Stecco Cら(2011)は超音波画像法にて大腿筋膜などの厚く発達した筋膜層の可視化を報告している.
しかし,超音波診断装置による生体測定では誤差が生じやすいとされており,超音波診断装置を用いて筋組織やFasciaの評価の検討を行なう場合,評価方法の信頼性の確認が必要不可欠である.

超音波による評価は,偶然誤差のみならず検査者による誤差が自ずと生じる.そのため,偶然誤差のみを考慮した信頼性の検討(級内相関係数)のみでは信頼性の検討は難しいため,絶対的誤差(加算誤差や比例誤差の有無,誤差範囲の調査)が必要不可欠である.

 

 

 

 

 

まとめ

超音波画像診断装置は結合組織と筋構造ならびに局所の機械的摂動に対する動的反応を画像化することが可能である.これまでの超音波技術から派生した技術は,治療に対する効果判定だけではなく,基礎動態に関する研究にも応用できる非侵襲的な手法である.

しかしながら,超音波画像診断装置による検討は,検査者の技術的な誤差が生じるため,偶然誤差のみならず,絶対的誤差の検討も必然的に行わなければいけない.

 

Kazu
この記事を書いた人

《資格》 Advanced diploma of Physical Therapist (理学療法士:高度専門士) Certificated physical therapist in Orthopa ...

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