筋膜の学習

便秘と筋膜の関係

前回、筋膜のトラブルによって引き起こされる可能性がある症状をご紹介しました。

今回はその中の便秘について、どのようなメカニズムで症状が起きるのか、もう少し詳しく説明したいと思います。

 

腸と神経の関係

 腸をはじめとする消化管は、自律神経によって支配されており、自律神経は外部環境に適切に応答するための調節機能として働いています。自律神経は交感神経と副交感神経から成っており、緊張したりする状況では交感神経の働きが活発になり消化管の動きは鈍くなり、逆にリラックスした状況では副交感神経の働きが活発になることで消化管の動きは活発になります。消化管は、第2の脳とも呼ばれ、自律神経など中枢神経系の作用に左右されない、独自の収縮機能を持っています。

 

胃や腸などの消化管の一つ一つの器官を包んでいる膜の中に壁内神経叢というセンサーがあります。このセンサーは、食べ物などで腸の壁が引き伸ばされることで反応し、食べ物がある部分の前の壁が拡張し、食べ物がある部分の後ろの壁を収縮させ食べ物を前へ押し出すように働きかけます。食べ物が流れていくと、流れていった部分でまた同じように収縮と拡張が起こり、食べ物が前に押し出されて進んでいく・・・というサイクルが起こります。これがいわゆる「蠕動運動」です。これが、脳をはじめとする中枢神経を介さずに、自動で行うことができるのです。

さらに消化管は、胃、十二指腸、小腸、大腸と続いているのですが、それらの消化管全体を包んでいる膜の中に、壁外神経叢というセンサーが存在し、それぞれの器官が円滑に機能するように、全体の統括を取ってくれています。

 

これらのセンサーを含んでいる一つの臓器を包んでいる膜と複数の臓器をまとめて包んでいる膜には連続があります。臓器を包む入れ物が硬くなると、それぞれの臓器が動きにくくなるのはもちろん、膜に含まれるセンサーの機能も鈍ってしまうため、蠕動運動が起こりにくくなってしまうのです。そのため、便秘や、逆に過剰に消化管が反応してしまう過敏性腸症候群などが起こります。

 

腸と膜の関係性

 臓器全体を包んでいる膜の外側には腹横筋、内腹斜筋、外腹斜筋といった腹部の筋があります。これらの筋を包んでいる筋膜は、他の筋だけでなく、臓器を包んでいる膜とも連続があり、内臓を含む全身につながっています。本来、お腹の中の内臓の動きと外側の筋の動きはお互いが干渉しないようになっています。それらの筋膜に何らかのトラブルが起きると、筋膜の硬さが腹部臓器の活動に影響を及ぼしたり、はたまた腹部臓器の緊張が、筋膜を伝わって全身へ波及して手や足にトラブルが起こったりもするわけです。

 

もちろん、食物繊維の不足など食べ物の問題や水分不足、運動不足などからくる便秘もありますし、自律神経の乱れなどからくる便秘もありますので、そう言った場合は生活習慣の見直しが大切になってきます。

それでも改善しない頑固な便秘などに対しては、筋膜を整えるという介入の仕方も有効となります。頑固な便秘等でお困りの方は内臓への介入に詳しい筋膜セラピストにご相談してみてください。

 

Wakana
この記事を書いた人

プロフィール 名前:Wakana Ishikawa 経歴:2011年理学療法士免許取得。都内の総合病院に勤務。 2016年Fascial manipulation® Level1 修了 Fascial ...

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